イタリアのボランティア活動について

◆イタリアのボランティア活動の現況◆

イタリアにおけるボランティア活動は長い歴史に支えられているが、近年、その重要性が増してきたと同時に二つの特徴が見られる。その一つは、公共福祉に対する自立性保持という傾向と、もう一つは社会状況の危機に即応した民間組織の発展である。1991年の世論調査では一年間に421.000人のボランティア活動が記録されたが、その内、316.000人は民間組織における活動であった。しかし同じボランティア活動といっても地域により活動内容に差があることが最近の調査で明らかになった。

     ☆ ボランティア活動登録者の地域別組織表(1995年度ISTAT)



ボ.活動組織率
ボ.活動グループ数
ボ.活動グループ
当たりの平均組織数
北部  64,2% 2.430 2,3
中央部  21,7%  601 3,2
南部  14,1%  662 1,9
全国 100% 3.520 2,5

この表から北部イタリアの方が南部に比べて、ボランティア登録者数が多く、組織率も64%と高いことがわかる。北部では Lombardia,Toscana,Veneto,Emilia-Romagna の4州が実は、北部のボ.組織の60%を占めている。
次に地域別に見たボ.活動分野を見てみよう。

     ☆ 地域別ボランティア活動分野表(1995年ISTAT)



北部
中央部
南部
合計
保健衛生関係  37,1%  56,5%  30,6%  40,4%
社会福祉関係  48,6  31,1  52,9  45,4
市民安全保護関係   4,3   4,4   6,0   4,6
環境保護関係   1,0   1,0   1,1   1,0
教育文化関係   7,6   6,5   9,1   7,6
スポーツ関係   1,1   0,2   0,2   0,8
国際協力関係   0,2   0,3   0,2   0,3
合計 100% 100 100 100

最近10年位の傾向を見ると、社会福祉関係のボ.活動が増加しており、この表では全国平均率45,4%と高く、これは約4.000組織数に相当する。次に保健衛生関係が40,4%(3.550組織数)で伝統的に根強い支持を得ている。この保健衛生関係のボ.活動の例は次項で紹介しよう。教育及び文化関係は7,6%で665組織数である。地域別に見てみると、南部イタリア地域における社会福祉関係活動が 52,9%で、全国平均値45,4%を越えていて著しい。中部では保健衛生関係が56,5%で全国平均値40,4%を遥かに凌駕している。近年の傾向として特筆すべきことは、組織のグループ化が進んでいる点で、上位9グループで組織数の40%を、上位22グループで組織数の50%を占める。[Rapporto sull'Italia - ISTAT-より]



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このページは、 09.11.11にアップデートされました。
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