イタリアの一般医療事情

イタリアにおける医療、衛生、保健事情は他のEEC諸国同様の水準にありますが、日本と比べてみますと、制度内容共に異なる点も多いので、当地で治療を受けられる方は参考にしてください。

◆一般医療事情◆

 国公立病院の場合、受診はすべてイタリア語による書類と煩雑な手続きを要するため、日本の旅行者向きではありません。従って自由診療による私立病院での診療となるので、受診予約は必須です。しかしここも医師多忙の国ですので、診療予約はなかなかすぐにというわけにはいきません。但し、緊急の場合には、国公立病院の救急窓口 Pronto soccorso を利用することになります。ここでは非居住者であっても無料で応急処置を受けられることが多く、予約は不要です。従って交通事故に遭った場合には最寄りの Pronto soccorso へということになります。大都市には歯科、眼科等の専門救急病院があり、24時間体制で患者の受け入れが出来るようになっています。
 近年、現代医学研究は他のEEC諸国との連繋も密ですし、高度な先進医療においても技術水準、医療設備共に充実してきました。従って、日本で受けられる治療、手術内容と同レベルと考えられます。但しイタリア語以外の他の言語は通じにくく、医師でさえ英語を解さない場合があり、看護婦・検査技師などの病院職員はまず英語は通じないものと考えたほうが良いでしょう。しかし、ラテン系の言語はかなり通じますので、フランス語、スペイン語、ポルトガル語のいずれかを少しでも勉強しておかれると病院以外でも便利でしょう。

◆医薬品購入事情◆

以前は麻薬・劇薬・毒薬・向精神薬等の要指示薬を除き、処方箋なしで医薬品の多くが薬局で購入可能でしたが、1994年1月1日より医薬品に関する新法律が発効され、処方箋なしで購入できる医薬品は、うがい薬・点眼薬・ビタミン剤・消毒薬等の一般大衆薬のみとなりました。従って解熱剤・抗生剤等の購入は医師の処方箋を必要とします。薬局「Farmacia」は緑十印の看板を出していますから、街中ならどこでも見付けることが出来ます。しかし一般商店並に午前午後営業時間が決まっていますので、時間外に薬を求める時には輪番制で開いている薬局を探さなければなりません。なおどの地区にも夜間営業の薬局があります。

◆診療費用◆

  外来診療では、最初の診察料の後、各科の専門医診察料・臨床検査料・材料費がかかります。一方私立病院に入院する場合には、主治医の診察料・複数の専門医の診察料と病院へ支払う費用が医療費の総額となります。病院への支払い内容は、病室費(入院時一般の標準検査・薬剤費・看護費・食費・通信費など全て含む)と、特定検査料、高額薬剤費差額の合計です。これに手術が加わると、手術費・麻酔費・手術室及び回復室使用料それに麻酔医への技術料が加算されます。   支払いは、通常退院日又はその前日に済ませます。現金、個人小切手、銀行振込み等いずれの方法でも良いですが、入院の時には保証金(デポジット)を要求されることが多いです。海外旅行障害保険をお持ちの方は入院時に、直ちに保険会社に連絡することをお忘れなく。イタリアではクレジットカードを扱う病院はまだ極めて少ないですから、現金かトラベラースチェックを用意される事をお勧めします。

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このページは、 09.11.11にアップデートされました。
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